原始反射は成長とともに“統合”(自分の力としてうちに含む)していくことで、より高度な脳の使いかたができるようになり、次の発達段階へとつながっていきます。
しかし現代社会においては、生活環境や、ストレスなど、何らかの理由によって、本来統合していくはずの原始反射をつよく保持(残存)したままの状態でいるお子さんも決して珍しくありません。
原始反射の残存により、脳が反射的に不適当なはたらきをすることで、感覚や知覚、運動に影響を及ぼし、心身ともに発達の未熟さがのこります。
学習の困難さや発達のおくれ、問題行動などは、生まれもった性格、資質の問題や、心理的な課題としてとらえられることが多いですが、原始反射は文字どおり、反射による脳のはたらきなので、
「本当は伝えたいのに言葉がでない」「集中したいのに考える前に体がうごいてしまう」「いつも漠然とした不安を感じている」など
本人の思考や努力とは関係のないところで、さまざまな生きづらさが引き起こされてしまい、生活や学習に支障をきたし“ムリにがんばる”状態となり、
これが発達のお困り感として「生きづらさ」につながっているメカニズムです。
発達に何らかのおくれや停滞の心配のあるお子さんの多くは、この原始反射をつよく保持している傾向があります。